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『歌行燈』
従吾所好
お三重は、而して、更めて二箇〈ふたり〉の老人に手を支いた。
「芸者でお呼び遊ばした、と思ひますと……お役に立たず、極りが悪うございまして、お銚子を持ちますにも手が震へてなりません。下婢〈おさん〉をお傍へお置き遊ばしたとお思ひなさいまして、お休みになりますまでお使ひなすつて下さいまし。お背中を敲きませう、な、何うぞな、お肩を揉まして下さいまし。其なら一生懸命に屹と精を出します。」
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