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 『義血侠血』 青空文庫

 両箇《ふたり》の女は渠らとともに行きぬ。続きて一団また一団、大蛇を籠に入れて荷う者と、馬に跨りて行く曲馬芝居の座頭《ざがしら》とを先に立てて、さまざまの動物と異形の人類が、絡繹《らくえき》として森蔭に列を成せるその状《さま》は、げに百鬼夜行一幅の活図《かっと》なり。
 ややありて渠らはみな行き尽くせり。公園は森邃《しんすい》として月色ますます昏く、夜はいまや全くその寂に眠れるとき、〓谺《こだま》に響き、水に鳴りて、魂消る一声、

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