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『海神別荘』 華・成田屋
僧都 綾、錦、牡丹、芍薬、縺れも散りもいたしませぬを、老人の申条(もうしじょう)、はや、また海松(みる)のように乱れました。ええええ、その菫、露草は、若様、この度の御旅行につき、白雪の竜馬(りゅうめ)にめされ、渚を掛けて浦づたい、朝夕の、茜、紫、雲の上を山の峰へお潜びにてお出ましの節、珍しくお手に入りましたのを、御姉君、乙姫様へ御進物の分でござりました。
侍女一 姫様は、閻浮檀金(えんぶだごん)の一輪挿(いちりんざし)に、真珠の露でお活け遊ばし、お手許(てもと)をお離しなさいませぬそうにございます。
公子 度々は手に入らない。私も大方、姉上に進げたその事であろうと思った。
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