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『高野聖』
泉鏡花を読む
此処に居て先刻から休んで
ござ
つたのが、右の売薬ぢや。此の又万金丹の下廻と来た日には、御存じの通り、千筋の単衣に小倉の帯、当節は時計を挟んで居ます、脚絆、股引、之は勿論、草鞋がけ、千草木綿の風呂敷包の角ばつたのを首に結へて、桐油合羽を小さく畳んで此奴を真田紐で右の包につけるか、小弁慶の木綿の蝙蝠傘を一本、お極だね。一寸見ると、いやどれもこれも克明で分別のありさうな顔をして。
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