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 『婦系図』 青空文庫

「だって、貴女、先生がお嬢さんのお酌で快く御酒を召食《めしあが》れば、それに越した事はありません。後《いま》にその筋から御褒美《ごほうび》が出ます。養老の滝でも何でも、昔から孝行な人物の親は、大概酒を飲みますものです。貴女を(お酌さん。)なぞと云う奴は、親のために焼芋を調え、牡丹餅《おはぎ》を買い……お茶番の孝女だ。」
 と大《おおい》に擽《くすぐ》って笑うと、妙子は怨めしそうな目で、可愛らしく見たばかり。
「私は、もう帰ります。」

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