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 『五大力』 従吾所好

 屋根と屋根とかさなり掛つて星を鏤〈ちりば〉めた蒼空遙に、靄を破る鉄〈くろがね〉の天の柱かと見る工場の煙突さへ、月の面へぼつと吐く……短かな煙の白いのが、船の婦の立姿、まるで、白粉の刷毛に見えた。
(だまされたやうなお天気ぢやね。)
(時雨は恁うでござりますよ。)

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