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 『五大力』 従吾所好

(時雨は恁うでござりますよ。)
 と直き足許の岸を、小船の中で饒舌つて通つた。
 フトそれに、私は気を取られたものらしい。成程、銀〈しろがね〉の月が、と紺青に半輪の象嵌したのを、裏透くばかり視めるうちに、五大力は艫を見せた。

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