検索結果詳細


 『春昼』 泉鏡花を読む

 と答へて、頭のあたりをざぶ/\と、仰いで天に愧ぢざる顔色でありました。が、日頃の行ひから察して、如何に、思死をすればとて、苟も主ある婦人に、然ういふ不料簡を出すべき仁でないと思ひました、果せる哉。
 冷奴に紫蘇の実、瓜の香の物で、私と取膳の飯を上ると、帯を緊め直して、(もう一度そこいらを。)
 いや、これはと、ぎよつとしたが、垣の外へ出られた姿は、海の方へは行かないで、それ、其の石段を。」

 509/628 510/628 511/628


  [Index]