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『歌行燈』
従吾所好
で、故と慰めるやうに吻々と笑つた。
人の情に溶けたと見える……氷る涙の玉を散らして、はつと泣いた声の下で、
「はい、願掛けをしましても、塩断ちまでしましたけれど、何うしても分りません、調子が一つ出来ません。性来〈うまれつき〉でござんせう。」
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