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 『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

      六 乱れ髪

 亭主の叫びし声を怪しみ、慌《あわたゞ》しく来る旅店の内儀、「まあ何事でござんすの、と洋燈《ランプ》を点けて据ゑ置きながら、床の間の方を見るや否や、「ン、と反返るを抱き止めて、泰助屹と振返れば、柱隠しの姿絵といふ風情にて、床柱に凭れて立つ、あら怪しき婦人《をんな》ありけり。

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