検索結果詳細
『歌行燈』
従吾所好
爺様の乗つた前の車が、はたと留つた。
あれ聞け……寂寞〈ひつそり〉とした一條廓〈ひとすじくるわ〉の、棟瓦にも響き転げる、轍の音も留まるばかり、灘の浪を川に寄せて、千里の果も同じ
水
に、筑前の沖の月影を、白銀〈しろがね〉の糸で手繰つたやうに、星に晃めく唄の声。
51/744
52/744
53/744
[Index]