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『義血侠血』
青空文庫
その声を聞くとひとしく、白糸は背後《うしろ》より組み付かれぬ。振り払わんとする間もあらで、胸も挫《ひし》ぐるばかりの翼緊《はがいじ》めに遭《あ》えり。たちまち暴《あら》くれたる四隻《よつ》の手は、乱雑に渠の帯の間と内懐とを撈《かきさが》せり。
「あれえ!」と叫びて援《すく》いを求めたりしは、このときの
血
声なりき。
「あった、あった」と一個《ひとり》の賊は呼びぬ。
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