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 『春昼』 泉鏡花を読む

 如何にも一月ばかり以前から取沙汰した今日は当日。規模を大きく、建直した落成式、停車場に舞台がかゝる、東京から俳優が来る、村のものの茶番がある、餅を撒く、昨夜も夜通し騒いで居て、今朝来がけの人通りも、よけて通るばかりであつたに、はたと忘れて居たらしい。
「まつたくお話に聞惚れましたか、此方が里離れて閑静な所為か、些とも気が附かないで居りました。実は余り騒々しいので、そこを遁げて参つたのです。しかし降りさうになつて来ました。」

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