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 『高野聖』 泉鏡花を読む

「さて、夜も更けました、」といつて旅僧は又語出した。
「大抵推量もなさるであらうが、いかに草臥れて居つても申上げたやうな深山の孤家で、眠られるものではない、其に少し気になつて、はじめの内私を寝かさなかつた事もあるし、目は冴えて、まじ/\して居たが、有繋に、疲が酷いから、心は少し茫乎して来た、何しろ夜のむのが待遠でならぬ。

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