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 『春昼』 泉鏡花を読む

「ねんばり一湿りでございませう。地雨にはなりますまい。何、又、雨具もござる。芝居を御見物の思召がなくば、まあ御緩りなすつて。
 あの音もさ、面可笑しく、此方も見物に参る気でもござると、ぢつと落着いては居られない程、浮いたものでありますが、さて恁う、かけかまひなしに、遠ざかつて居りますと、世を一ツ隔てたやうに、寂しい、陰気な、妙な心地がいたすではありませんか。」

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