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 『薬草取』 青空文庫

「否《いいえ》、山さえお暴《あら》しなさいませねば、誰方《どなた》がおいでなさいましても、大事ないそうでございます。薬の草もあります上は、毒な草もないことはございません。無暗《むやみ》な者が採りますと、どんな間違《まちがい》になろうも知れませんから、昔から禁札《きんさつ》が打ってあるのでございましょう。
 貴方《あなた》は、そうして御経《おきょう》をお読み遊ばすくらい、縦令《たとい》お山で日が暮れても些《ちっ》ともお気遣《きづかい》な事はございますまいと存じます。」

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