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『人魚の祠』 青空文庫
私の居た、草にも、しつとりと其の靄が這ふやうでしたが、袖には掛らず、肩にも巻かず、目なんぞは水晶を透して見るやうに透明で。詰《つま》り、上下が白く曇つて、五六尺水の上が、却つて透通《すきとほ》る程なので……
あゝ、あの柳に、美《うつくし》い虹が渡る、と見ると、薄靄に、中が分れて、三《みつ》つに切れて、友染に、鹿の子絞《しぼり》の菖蒲《あやめ》を被《か》けた、派手《はで》に涼しい装《よそほひ》の婦《をんな》が三人。
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