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 『夜叉ヶ池』 青空文庫

百合 ……その竜が棲《す》む、夜叉ヶ池からお池の水が続くと申します。ここの清水も気のせいやら、流《ながれ》が沢山《たんと》痩《や》せました。このごろは村方で大騒ぎをしています。……暑さは強し……貴方《あなた》、お身体《からだ》に触《さわ》りはしますまいかと、――めしあがりものの不自由な片山里は心細い。私はそれが心配でなりません。
晃 流《ながれ》が細ったって構うものか。お前こそ、その上夏痩せをしないが可《い》い。お百合さん、その夕の花に、ちょっと手を触ってみないか。
百合 はい、どういたすのでございますか。

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