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 『逢ふ夜』 従吾所好

「へい、ぼつ/\、」と莞爾する。
 婦が二階から、みし/\と、其の細い力ない、病上りにも響く身上。盆にも乗せず、内端に蓋茶碗を持つて下りて、ト其の机の上へ。……炉の向うへ、疲れたやうにくの字に坐つた。内証で、毒を五つ六つ久しぶりで相をしたので、寝て居る二階の親の前を、一生懸命に殺した、憚る酔の呼吸づかひ、うつすりと乳の透くやうな胸へ響く。

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