検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

 休題《さておき》、南町の桐楊塾は、監督が祖さんで、同窓が嬢《むすめ》たちで、更に憚る処が無いから、天下泰平、家内安全、鳳凰は舞い次第、英吉は遊び放題。在学中も、雨桐はじめ烏金《からすがね》の絶倍で、しばしばかいがんに及んだのみか、卒業も二年ばかり後れたけれども、首尾よく学位を得たと聞いて、親たちは先ず占めた、びきで、あおたんの掴みだと思うと、手八《てはち》の蒔直《まきなお》しで夜泊《よどまり》の、昼流連《ひるながし》。祖さんの命を承《う》けて、妹連から注進櫛の歯を挽《ひ》くがごとし。で、意見かたがたしかるべき嫁もあらばの気構えで、この度親が上京したので、妙子が通う女学校を参観したと云うにつけても、意のある処が解せられる。

 539/3954 540/3954 541/3954


  [Index]