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 『歌行燈』 従吾所好

「然らば、其許は目を瞑〈ねむ〉るだ。」
「えゝ、縁起の悪いことを言はさる。……明日にも江戸へ帰つて、可愛い孫娘の顔を見るまでは、んでもなか/\目は瞑らぬ。」
「さて/\捻るわ、ソレ其処が捻平さね。勝手になされ。さあ、あの娘立つたり、此の爺様に遠慮は入らぬぞ。それ、何にも芸がないと云うて肩腰さすらうと卑下をする。どんな真似でも一つ遣れば、立派な芸者の面目が立つ。祝儀取るにも心持が可からうから、是非見たい。が、しかし心のまゝにしなよ。決して勤を強ひるぢやないぞ。」

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