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 『春昼』 泉鏡花を読む

 堂は形だけ残つて居りますけれども、勿体ないほど大破いたして、密と参つても床なぞづぶ/\と踏抜きますわ。屋根も柱も蜘蛛の巣のやうに狼藉として、これは又境内へ足の入場もなく、崕へかけて倒れてな、でも建物があつた跡ぢや、見霽しの広場になつて居りますから、これから山越をなさる方が、うつかり其処へござつて、唐突の山仏に胆を潰すと申します。

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