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『薬草取』 青空文庫
言いかけてまた近《ちかづ》き、
「あのさようなら、貴方《あなた》はお薬になる草を採りにおいでなさるのでござんすかい。」
「少々《しょうしょう》無理な願《ねがい》ですがね、身内に病人があって、とても医者の薬では治《なお》らんに極《きま》ったですから、この医王山でなくって外《ほか》にない、私が心当《こころあたり》の薬草を採りに来たんだが、何、姉《ねえ》さんは見懸《みか》けた処《ところ》、花でも摘みに上《あが》るんですか。」
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