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 『義血侠血』 青空文庫

「いやさ、転ばぬ前《さき》の杖だよ。ほんにお願いだ、気を着けておくれ。若い人と違って年老《としより》のことだ、放り出されたらそれまでだよ。もういいかげんにして、徐々《やわやわ》とやってもらおうじゃないか。なんと皆さんどうでございます」
「船に乗れば船頭任せ。この馬車にお乗んなすった以上は、わたしに任せたものとして、安心しなければなりません」
「ええ途方もない。どうして安心がなるものか」

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