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 『春昼』 泉鏡花を読む

 と胸を伏せて顔を見る。
「いや/\、其処までではありません。唯其の山路へ、堂の左の、巌間を抜けて出たものでございます。
 トいふのが、手に取るやうに、囃の音が消えたからで。

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