検索結果詳細


 『春昼』 泉鏡花を読む

 入り口はまだ月のたよりがございます。樹の下を、草を分けて参りますと、処々窓のやうに山が切れて、其処から、松葉掻、枝拾ひ、じねんじよ穿が谷へさして通行する、下の村へ続いた路のある処が、彼方此方に幾干もございます。
 それへ出ると、何処でも広々と見えますので、最初左の浜庇、今度は右の茅の屋根と、二三箇処、其切目へ出て、覗いたが、何処にも、祭礼らしい処はない。は明く、谷は煙つて。」

 557/628 558/628 559/628


  [Index]