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 『春昼』 泉鏡花を読む

 如何にも賑かさうだが、さて何処とも分らぬ。客人は、其の朦朧とした頂に立つて、境は接しても、美濃近江、人情も風俗も皆違ふ寝物語の里の祭礼を、此処で見るかと思はれた、と申します。
 其上、宵宮にしては些と賑か過ぎる、大方本祭の夜? それで人の出盛りが通り過ぎた、余程夜更らしい景色に視めて、しばらく茫然としてござつたさうな。

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