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『高野聖』 泉鏡花を読む
何ぢやの、己が嬢様に念が懸つて煩悩が起きたのぢやの。うんにや、秘さつしやるな、おらが目は赤くツても、白いか黒いかはちやんと見える。
地体並のものならば、嬢様の手が触つて那の水を振舞はれて、今まで人間で居よう筈はない。
牛か馬か、猿か、蝙蝠か、何にせい飛んだか跳ねたかせねばならぬ。谷川から上がつて来さしつた時、手足も顔も人ぢやから、おらあ魂消た位、お前様それでも感心に志が堅固ぢやから助かつたやうなものよ。
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