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 『義血侠血』 青空文庫

「た、た、た、ただ……いま」
 渠は立たんとすれども、その腰は挙がらざりき。されども渠はなお立たんと焦りぬ。腰はいよいよ挙がらず。立たざればついに殺されんと、渠はいとど慌てつ、悶えつ、辛くも立ち起がりて導けり。二間《ふたま》を隔つる奥に伴いて、内儀は賊の需《もと》むる百円を出だせり。糸はまずこれを収めて、

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