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『義血侠血』
青空文庫
「偸児！ 人殺し！」と地蹈鞴《じだたら》を踏みて、内儀はなお暴らかに、なおけたたましく、
「人殺し！ 人殺しだ！」と
血
声を絞りぬ。
これまでなりと観念したる白糸は、持ちたる出刃を取り直し、躍り狂う内儀の吭《のんど》を目懸けてただ一突きと突きたりしに、覘《ねら》いを外して肩頭《かたさき》を刎《は》ね斫《き》りたり。
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