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『歌行燈』
従吾所好
と翳す扇の利剣に添へて、水のやうな袖をあて、顔を隠した其の風情。人は声なくして、たゞ、ちり/\と、蝋燭の涙白く散る。
此の物語を聞く人々、如何に日和山の頂より、志摩の島々、
海
の凪、霞の池に鶴の舞ふ、あの、麗朗〈うらゝか〉なる景色を見たるか。
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