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 『歌行燈』 従吾所好

 又、あの巌に追上げられて、霜風の間々〈あひ/\〉に、(こいし、こいし。)と泣くのでござんす。
 手足は凍つて貝になつても、(こいし)と泣くのが本望な。巌の裂目を沖へ通つて、の果まで響いて欲しい。もう船も去〈い〉ね、潮も来い。……其のまゝで石に成つてしまひたいと思ふほど、お客様、私は、あの、」

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