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 『夜叉ヶ池』 青空文庫

晃 世間の人には金が要ろう、田地も要ろう、雨もなければなるまいが、我々二人活《い》きるには、百日照っても乾きはしない。その、露があれば沢山なんだ。(戸外《おもて》に向える障子を閉《とざ》す。)
百合 貴方、お暑うございましょう。開けておおきなさいましても、もう、そちこち人も通りますまい。
晃 何、更《あらたま》って、そんな心配をするものか。……晩方閉込《とじこ》んで一燻《ひといぶ》し燻しておくと、蚊が大分楽になるよ。

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