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『五大力』
従吾所好
尤も傍に居たのは其の従姉ばかり……
……氷嚢は除けて居た。高枕で、掻巻を深々と掛けて、
顔
ばかり出した、其の色艶も沈んだ叔父の
顔
が、活きた名作の面のやうに見えたと思ふと、腸へヒヤ/\と染みて、はじめて、浮草小町の尊さが分つた。あゝ、其の面も目を開かう、目を塞がう、瞼も濡らさう、口も利くだらうと、……ぎり/\頭を突刺される。
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