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『婦系図』 青空文庫
「済みやしないよ、七皿のあとが、一銚子《ひとちょうし》、玉子に海苔《のり》と来て、おひけとなると可いんだけれど、やっぱり一人で寝るんだから、大きに足が突張《つっぱ》るです。それに母様が来たから、ちっとは小遣があるし、二三時間駈出して行って来ようかと思う。どうだろう、君、迷惑をするだろうか。」
と甘えるような身体《からだ》つき、座蒲団にぐったりして、横合から覗いて云う。
「何が迷惑さ。君の身体で、御自分お出かけなさるに、ちっとも迷惑な事はない。迷惑な事はないが……」
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