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『春昼』
泉鏡花を読む
慄然として、遁げもならない処へ、またコン/\と拍子木が鳴る。
すると貴下、谷の方へ続いた、其何番目かの仕切の中から、ふらりと外へ出て、一人、小さな婦人の姿が、音もなく歩行いて来て、やがて其の舞台へ上つたで
ござ
いますが、其処へ来ると、並の大きさの、しかも、すらりとした背丈になつて、しよんぼりした肩の処へ、恁う、頤をつけて、熟と客人の方を見向いた、其の美しさ!
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