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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 と仁右衛門は真面目に留める。
 「おい、手毬はどうして消えたんだな、焦《じれ》ったい。」
 「それだがね、疾《はえ》え話が、御仁体じゃ。化物が、の、それ、たとい顔を嘗めればとって、天窓《あたま》から塩とは言うめえ、と考えたで、そこで、はい、黒門へ案内しただ。仁右衛門も知っての通り――今日はまた――内の婆々殿が肝入で、坊様を泊めたでの、……御本家からこうやって夜具を背負《しょ》って、私《わし》が出向くのは二度目だがな。」

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