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 『親子そば三人客』 従吾所好

「まきを一、」と媚かしい声で通したが、やがて十能に真赤なのを堆く、紅の襷がけ、円く白い二の腕あたり惜気もなう、効々しく、土間を蓮葉にカラ/\と突かけ下駄で持つて来て、鉄火箸〈かなひばし〉を柄長に取つて火鉢にざツくり。
 面長で色な、些と柄は大いが、六か七と見えてあどけない風、結綿の髷がよく似合ひ、あらい絣の前垂して、立働きに繕はず、衣紋の乱れたのも初々しい。嬌態〈しな〉もなく真直に立つて、火を入れるのを見て、

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