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 『絵本の春』 青空文庫

と円い膝に、揉《も》み込むばかり手を据えた。
「もう、見たかい。……ええ、高島田で、紫色の衣《き》ものを着た、しい、気高い……十八九の。……ああ、悪戯《いたずら》をするよ。」
 と言った。小母さんは、そのおばけを、魔を、鬼を、――ああ、悪戯をするよ、と独言《ひとりごと》して、その時はじめて真顔になった。

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