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 『婦系図』 青空文庫

「だってただ一面識だものね、三四度《たび》交際《つきあ》って見たまえ。ちゃんと分るよ、五度とは言わない。」
「何も様に交際うには当らんじゃないか。せめて年増ででもあればだが、もう婆さまだ。」
 と横を向いて、微笑んで、机の上の本を見た。何の書だか酒井蔵書の印が見える。真砂町から借用のものであろう。

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