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 『五大力』 従吾所好

 自分の影法師を落したやうに、此の二三日ふら/\と成つて、足も上の空で川筋をふらつくがね。転倒した所為と見える……恁うして思ふと、余り取留めのない事だけれども、幽霊だか妾〈かこひもの〉だか、あの晩逢つた遊女が、以前〈もと〉居た、はじめて私がを見た洲崎の楼〈うち〉のね、婦の部屋の床の柱に、ふと、其の浮草の面が正面を向いて、薄蒼く、俯目で掛つて居さうで我慢が出来ない。

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