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『高野聖』
泉鏡花を読む
弥よ明日が手術といふ夜は、皆寐静まつてから、しく/\蚊のやうに泣いて居るのを、手水に起きた娘が見つけてあまり不便さに抱いて寝て遣つた。
さて治療となると例の如く娘が背後から抱いて居たから、脂汗を流しながら切れものが入るのを、感心にぢつと耐へたのに、何処を切違へたか、それから流れ出した
血
が留まらず、見る/\内に色が変つて、危くなつた。
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