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 『五大力』 従吾所好

 台湾から帰つたやうな顔をして、先刻お互に年も忘れた、喜の字の婆さんの内へ飛込んで、久しぶりで提灯〈かんばん〉を点けたがね。
 昔の芸者だ、半纏を斜ツかひに、突袖で、出た所は、野暮では無い。雖然、客が此の方で、其の婆さんだから、縁日商人が帰りがけに、道連れに成つた辻占売と云ふ形です。
 大時計の霜を空に見て、広い階子段を上つた。……取着きの八角火鉢へ膝を支いたうちも、尻はむず/\する。

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