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 『春昼』 泉鏡花を読む

 しばらくすると、其の自分が、稍身体を捻ぢ向けて、惚々と御新姐の後姿を見入つたさうで、指の尖で、薄色の寝衣の上へ、恁う山形に引いて、下へ一ツ、△を書いたでございますな、三角を。
 見て居る胸はヒヤ/\として冷汗がびつしよりになる。
 御新姐は唯首垂れて居るばかり。

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