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 『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径


 倉瀬泰助は旅店を出でて、雪の下への道すがら、一叢《ひとむら》樹立《こだち》の茂りたる林の中へ行懸りぬ。月いと清うさしいでて、葉裏を透して照らすにぞ、偶然《ふと》思ひ付く頬の三日月、又露れはせざるかと、懐中鏡を取出せば、きらりと輝く照魔鏡に怪しき人影りけるにぞ、はつと鏡を取落せり。

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