検索結果詳細


 『歌行燈』 従吾所好

 とお言ひのなり、三味線を胸に附着けて、フイと暗がりへ附着いて、黒塀を去〈い〉きなさいます。……
 其の事は言はぬけれど、明方の三時から、夜のむまで垢離取つて、願懸けすると頼んだら、姉さんは、喜んで、承知してくれました。
 殺されたら死ぬ気でな、――大恩ある御主人の、此の格子戸も見納めか、と思ふやうで、軒下へ出て振返つて、門を視めて、立つて居るとな。

 612/744 613/744 614/744


  [Index]