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 『歌行燈』 従吾所好

 其の事は言はぬけれど、明方の三時から、夜の白むまで垢離取つて、願懸けすると頼んだら、姉さんは、喜んで、承知してくれました。
 殺されたらぬ気でな、――大恩ある御主人の、此の格子戸も見納めか、と思ふやうで、軒下へ出て振返つて、門を視めて、立つて居るとな。
(おいで。)

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