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 『五大力』 従吾所好

 と云ふなり、遣手部屋の前を、廊下すた/\、ばらりと並んだ重ね草履に突掛りさうな権幕でね、(此の部屋の遊女を買はしておくれ。)と障子の前に立つたのが、昔馴染の部屋なんです。すぐにも入つて、上の間の床柱を、と思ふけれど、さすがに其までは遠慮して控へたつけ。
 此方を向いて、肩を落して、片手懐に、半纏の袖を投げて、婆さんは遣手部屋の前に立つて居て、莞爾々々来て、
(さあ/\、丁ど可ござんす、すぐお座敷へ。)

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