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 『高野聖』 泉鏡花を読む

 然もうまれつきの色好み、殊に又若いのが好きぢやで、何か御坊にいうたであらうが、其を実とした処で、軈て飽かれると尾が出来る、耳が動く、足がのびる、忽ち形が変ずるばかりぢや。
 いや軈て、此の鯉を料理して、大胡座で飲む時の神の姿が見せたいな。
 妄念は起さずに早う此処を退かつしやい、助けられたが不思議な位、嬢様別してのお情けぢやわ、生命冥加な、お若いの、屹と修行をさつしやりませ。)と又一ツ背中を叩いた、親仁は鯉を提げたまゝ見向きもしないで、山路を上の方。

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