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 『龍潭譚』 青空文庫

 再び寂としたれば、ソと身うごきして、足をのべ、板めに手をかけて眼ばかりと思ふ少し差出だして、外《と》の方をうかがふに、何ごともあらざりければ、やや落着きたり。怪しきものども、何とてやはわれをみいだし得む、愚《おろか》なる、と冷かに笑ひしに、思ひがけず、誰ならむたまぎる声して、あわてふためき遁ぐるがありき。驚きてまたひそみぬ。

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